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Vol.92 福沢諭吉について(7)

J・H のささやき VOL.92 『福沢諭吉について(7)』

                 【学問のすすめ】より

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『国の文明は上政府より起こるべからず、下小民より生ずるべからず、必ずその中間
より興りて衆庶の向う所を示し、政府とならび立ちて始めて成功を期すべきなり。 
西洋諸国の史類を案ずるに、商売工業の道、一として政府の創造せしものなし。
その本は皆中等の地位にある学者の心匠に成りしもののみ。
蒸気機関はワットの発明なり、鉄道はスティーブンスンの工夫なり。
始めて経済の定則を論じ、商売の法を一変したるはアダムスミスの功なり。
この諸大家はいわゆる『ミッズルクラス』(ミドルクラス)なる者にて、国の執政に
非ず』
 
要するに、イギリスの発展の基はすべて民間より生じている。
政府が作ったものなどは何もない。
それもミドルクラスと言われれる人々が努力して、構築したものだ。
だから、『政府の義務は、ただその事を妨げずして適宜に行われしめ、人心の向かう
所を察してこれを保護するのみ』となります。

よく小さな政府、大きな政府と言います。
いろんな解釈が可能ですが、一般的には、民間に出来ることは民間に任せろ、政府は
あまり口出しするな、問題が起きたら、政府が介入して管理、対処すればよい。
小さな政府として最も成功しているのはアメリカでは。
だからあんな大国になったのです。
新大統領閣下、あんまり、あちこちにクチバシを入れるのは控えてください。

(文藝評論家の小林秀雄は昭和26年、次のように述べています。
『政治は、私達の衣食住の管理や合理化に関する実務と技術との道に立ち還るべきだと
思います』)

それでも、巨大企業の経営が危殆に瀕した時は、その保護のために適宜国家が介入して
きます。良き管理者・推進者としての政府の存在が必要とされる所以ですね。
またここで重要なことは、ミドルクラスの存在です。
現代は、経済格差が広がって、中間層がどんどん減って行く、と言われる社会です。
 
上でもなく下でもない、中間層の充実こそが、文明を発展させ、国家を強くする。
我が国の産業界の発展は、そういう意味では、福沢の希望通りに進んだのではないでし
ょうか?
日本の巨大企業、たとえばソニーでも松下でもトヨタでもホンダでも、みな民間企業で
す。鉄道もタバコも郵便も、民営になりました。株の大半は国が持っているにしても。
 
鉄道は、かつては『国鉄』と言いましたが、明治の創業時は民営でした。
その後、鉄道会社を保有する地方の実業家の猛烈な反対に遭いながら、明治の末年に国
有化され、鉄道院、鉄道省と発展しました。
(年少の頃、古い小説を読んでいると院線、省線と出てくるので、知識のない愚生はな
んのことかわからず首をひねったものです。鉄道のことだったんですね)
国有化されたのは盛岡・南部藩出身の原敬(はら・たかし)が内務大臣の時です。
それがまた、昭和になって元の民営に戻ったわけですね。
 
脱線ついでに記すと、アサノ・セメントは官営工場の払い下げでスタートした会社です
が、最も古い民営のセメント会社は旧小野田セメントです。
創業者は、長州藩士の笠井順八です。
アサノ、小野田、秩父の三社は合併し、現在も太平洋セメントとして立派に操業を続け
ています。
 
ウロおぼえなのですが、もう40、50年ほど前でしょうか?
ホンダがオートバイ一本やりから、乗用車の製造に着手しようとした時、当時の通産省
から待ったがかかったことがありました。
有名な事務次官がいました。
で、通産省から出てきた本田綜一郎は、状況はどうでしょうか、と新聞記者にきかれて、
次のように答えました。
『時間(次官)の問題だな』

国は禁煙運動に精励していますが、愚生が残念に思うのは、ライターやパイプやキセ
ルが、へたすると消えてしまうのでは、という思いです。キセルはもう死に体か?
タバコが世界中に普及するようになってから、どれほどの数の職人、匠が、それらを
営々と作ってきたのでしょうか?
押し寄せる『禁煙』と共に、そうした技術も消えてしまうのか?
ジッポのライターは芸術品です、パイプもしかり。名品がたくさんあります。
実にモッタイナイと思います。細々と継承されると思いますが。
分煙の良き方法、あるといいですね。

福沢は煙草は途中でやめていますが、大酒は終生変わらなかったようです。
まさか、かつてのアメリカのように、日本政府は禁酒法を作ったりしないでしょうね。
ヒトラーは 酒もタバコもやらない健康志向の人間でした。